1 五月雨を集めてはやし最上川  松尾芭蕉
3 五月雨の降りのこしてや光堂  松尾芭蕉
4 散るときの心やすさよけしの花  越智越人
5 清水の上から出たり春の月  森川許六
6 大原や蝶の出て舞ふ朧月  内藤丈草
7 春の月さはらば雫たりぬべし  小林一茶
8 さく花の中にうごめく衆生かな  小林一茶
9 しぐるるは覚期の前かひとり坊  小林一茶
10 白龍の月にかがやく白さかな  村上鬼城
11 いくたびも朝霧襲ふほととぎす  村上鬼城
12 いくたびも雪の深さを尋ねけり  正岡子規
13 さらさらと竹に音あり夜の雪  正岡子規
14 川蝉や柳静かに池深し  正岡子規
15 秋風の一人をふくや海の上  夏目漱石
16 思ふ事只一筋に乙鳥かな  夏目漱石
17 夢殿の赤に世の冬永きかな  松瀬青々
18 花騒心寂を花となしにけり  松根東洋城
19 さみだるゝさゞなみ明り松の花  渡辺水巴
20 雪がふるふる雪見てをれば  種田山頭火
21 雪解川名山けづる響かな  前田普羅
22 凍蝶の落ちたる如く雪に立つ  前田普羅
23 時雨るゝや水の流るゝ竹林  前田普羅
24 月光ほろほろ風鈴にたはむれ  萩原井泉水
25 まさをなる空よりしだれざくらかな  富安風生
26 むらさきのこゑを山辺に夏燕  飯田蛇笏
27 草に出て鹿かげの如し風の月  原石鼎
28 蓬萌ゆ憶良・旅人に亦吾に  竹下しづの女
29 春惜む瀧の音どもきこえけり  久保田万太郎
30 初夢や覚えてゐたきこと一つ  久保田万太郎
31 栗の花紙縒の如し雨雫  杉田久女
32 沈丁の葉ごもる花も濡れし雨  水原秋櫻子
33 空をゆく一かたまりの花吹雪  高野素十
34 方丈の大庇より春の蝶  高野素十
35 螢籠昏ければ揺り燃えたゝす  橋本多佳子
36 ふたたびは帰らず深き?の穴  阿波野青畝
37 限りなく降る雪何をもたらすや  西東三鬼
38 一枚の餅のごとくに雪残る  川端茅舎
39 むらさきの飛燕が捌く人通り  秋元不死男
40 遅れ咲きいまの落花に加はらず  山口誓子
41 身一つふかく裂けつつ一飛燕  中村草田男
42 散るものは散りつくし冬瀧かゝり  星野立子
43 寒鴉己が影の上におりたちぬ  芝不器男
44 さみだるる一燈長き坂守り  大野林火
45 まぼろしの鹿はしぐるるばかりかな  加藤楸邨
46 火の奥に牡丹崩るるさまを見つ  加藤楸邨
47 夢に舞ふ能美しや冬籠  松本たかし
48 み仏に美しきかな冬の塵  細見綾子
49 蝶が棲む海の伽藍に波の塔  高屋窓秋
50 雁や残るものみな美しき  石田波郷